【日本社会のターニングポイント:小泉構造改革②】
先週の続きを書いていく前に、
前回記事を載っけた時にいただいた質問の解説を少し。
『不況の時には財政出動をし、好景気の時に引き締めを行うのではないか』
という質問をいただきました。
これ経済学的に正解で、各国とも基本的には、
景気が悪くなった時は公共事業にお金を投じて(もちろん税金)景気を良くしようとし、
逆に良くなりすぎると”バブル”になっちゃうのでお金を徐々に引き上げていきます。
ちなみにこの理論の基礎を作った人がイギリスのジョン・メイナード・ケインズという方で、
この理論は『雇用・利子および貨幣の一般理論』という著書の中で述べられています(読んだことないけど)。
で、お金をどーんと出したのが小泉政権の二つ前の小渕政権の時。
そして、それを引き上げようとしたのが小泉政権。
と考えてくれればOKです。
それでは続けていきます。
小泉改革のひずみ①
今、私達世代(20~30代)が如実に被る影響は、
・労働者派遣法の改正(派遣労働の実質全面解禁)
・労働基準法の改正(解雇の自由化)
の2つなんじゃないかと思います。
派遣労働って今じゃ
『格安で人員補充して間の会社がピンはねする』
みたいなイメージがついちゃってますが
元々は専門的業務(通訳、翻訳など)である13業務に限られており、
また派遣先の雇用体制を崩さないようにしなければならずかなり制約の厳しいものでした。
それが徐々に職種の枠が広げられ99年にはほぼ全職種が対象となり
そして04年には上限3年の派遣期間を実質無期限へと広げました。
日本では戦後すぐに職業安定法が制定され、
賃金の中間搾取を防ぐために『労働者供給事業(いわゆる派遣)』を禁じてきました。
基本的に労働需給のマッチングは職安(ハローワーク)が担うべき仕事であるためです。
(よくよく冷静に考えてみれば労働者を右から左へ動かすだけで稼ぐというのはちょっとやくざな感じがありますよね)
しかしながら、85年に労働者派遣法が制定されて以来規制緩和が重ねられ
現在のような不安定な労働環境ができあがりました。
派遣労働を推し進めた目的
『不安定な雇用体系により格差が広がるおそれがある』
という派遣労働のマイナス面はもちろん当時の国会でも野党各党から指摘されてきたことではありましたが、
それでも推進した背景には「労働力の流動化で産業の発展と成長が起こる」という理論があったからでした。
これはどういうことかというと、
『労働者が容易に職を変えられるようになれば市場原理が働いて必要な場所に必要な人材が供給され、成長するべき産業が成長するはずだ』
と考えられたからでした。
(よくよく考えれば、この理屈が”トリクルダウン理論”に引き継がれてる気がします。これはまた今度)
このあたりも深掘りしていけば長くなってしまうので以下記事に任せますが、
▼「雇用の流動化で生産性が上がる」は間違いだ(’17/03/10)
http://toyokeizai.net/articles/-/162022
結局は政府が想定したような結果にはならず雇用者にとってはとても都合の良い状況ができあがったということでした。
世の中で圧倒的に多いのは被雇用者(労働者)であり、ここが安定しないと消費の拡大は見込むことができません。
その基本的な構造を崩してしまったという点において
・労働者派遣法の改正(派遣労働の実質全面解禁)
・労働基準法の改正(解雇の自由化)
は影響が大きかったのではないかと思います。
小泉構造改革によって生じたひずみの一つ、と言えると思います。
次は、社会保障にフォーカスしてお届けできればと思います。
相変わらずご質問等お待ちしております。
わかりにくい点あればぜひ指摘してくさい。