ほぼ週刊よこやま

ある一人の友達のために始めたニュース解説記事。私の視点から見えるもの。

【国政選挙の選挙制度について②】

さて。

先日に続いて選挙のお話です。

先日は『一票の格差』の問題でした。

本日は『死票』についてです。

 

死票とは

私の大好きな国語辞典には

 

しひょう ―へう 0【死票

落選者に投票された票。当選に結びつかなかった票。死に票。

 

 

とあります。

日本の衆議院選挙は、

小選挙区比例代表並立制(しょうせんきょく ひれいだいひょう へいりつせい》

という選挙制度が採用されています。

 

小選挙区選挙》

比例代表選挙》

を同時に行うので小選挙区比例代表並立制

比例代表はとりあえず置いておきます。

 

小選挙区選挙》

というのは、ある選挙区において当選者が一人のみという選挙です。

みなさんにも分かりやすいように鳥取を例にあげますと、

昨年の衆議院選挙で、鳥取県第一区という選挙区からは、

石破茂さんという方と、塚田成幸さんという方の2名が出馬しました。

全投票数127,254票のうち、106,425票を石破氏が得て当選を果たしました。

塚田氏に入った残りの20,829票が『死票』となります。

自分の投じた1票が無駄になりましたよ。というお話(実際はそうでもないんですが)。

 

これだけ見ると「大したことない」と思うかもしれませんが、

例えば前回の新潟3区

 

全投票数:194,613票(当日有権者数:312,835人 最終投票率:63.31%)

黒岩宇洋:95,644

斉藤洋明:95,594

・三村誉一:3,375

 

 

と、わずか50票差で黒岩氏が当選しました(自分の1票が無駄なんてことないんですよ!よ!)。

この場合も斉藤氏、三村氏に投じられた98,969票が死票となります。

それが当選した黒岩氏よりも多いにも関わらず。です。

 

少し話はそれますが、新潟3区の人の中には黒岩氏の主張とは違う主張の人が多くいるということがこの結果からお分かりいただけると思います。

しかもこれは”投票者”として自分の意見を可視化した人のみで、この他に投票に行かなかった有権者、11万人ほどいます。

黒岩氏は「この選挙区の選出議員」ですので自分が主張したいことだけを主張すればいいというわけではないということです(理想論というか議員の”建前”はそういうことです)。

 

せっかく選挙に行って、投じた票が死票になるなんて悲しいですよね。

全部が全部死票にならないようにと、比例代表選挙も同時に行われています。

こちらは比例代表選挙は政党を選んで投票します。

その得票割合に応じて議席が分配されるので、こちらは自分たちの意見がきちんと”反映”されることになります。

 

現行選挙制度の弊害

前回の衆議院選挙では、

全465議席のうち

小選挙区:289議席(62.2%)

比例代表:176議席(37.8%)

という割り振りでした。

 

小選挙区選挙は例え僅差であっても落選候補に投じられた票が死票になるので、

この割り振りだとどうしても死票の数はどうしても多くなっちゃいます。

昨年の衆議院選挙では、全小選挙区の得票数5542万票のうち2661万票が落選候補に投じられた死票となりました。

その割合たるやなんと48%。

半分近くが死票になってます。

 

死票が増えると民意が正しく反映されにくくなります。

得票割合と議席の割合に開きが出てくるんですね。

前回選挙では289選挙区で218議席と約75%を獲得しましたが、

得票数は2672万票と約48%と大きくずれがあります。

小選挙区で圧勝したように見えますが、

実は”自民党以外”に投票した人の方が多かったんです。

ちなみに全有権者に占める自民党の得票率は25%でした。

 

▼自民の大勝、小選挙区制が後押し 得票率は48%(’17/10/24)

https://www.asahi.com/articles/ASKBR5DWZKBRUTFK01N.html

 

なんでこんな死票の多い選挙制度にしているのかというと

政権交代

を起こりやすくするためなんですね。

小選挙区制の下では、”風”が吹けば政権交代が起こります。

2009年の衆議院選挙で民主党が政権を取れたのもこの選挙制度だったからです。

この時は民主党議席占有率74%に対し得票率は47%でした。

今回とあまり変わりませんよね。

その時の「空気」とか「雰囲気」とか「ムード」で、

コロッと変わってしまうのが現行の制度です。

 

政権交代が起こりやすいというのは良い点ではありますが、

急激な変化を起こす
民意が正しく反映されにくい

という負の要素があるのもまた事実です。

 

究極の解決策

前回書いた一票の格差死票も一気に解決してしまう究極の解決策が一つあります。

それは全国一区の比例代表制(全国区制というらしい)にしてしまうこと。

そうすればみんなが同じ大きさの1票を持てますし死票も出なくなります。

ただ、これは選挙にお金がかかりすぎるため

『資金力のある政党が有利』との理由で廃止されました。

日本では1947年から1980年まで、参議院議員通常選挙で行われていた選挙制度です。

ちなみに1947年の第一位当選者は、私が大好きな作家である星新一氏の父親、星一さんだったそうです。

 

今回の話は結論がないのでこの辺で終わりますが、選挙制度ってなかなか奥深いものでかつ重要なものなのだということが分かっていただければ幸い至極です。

個人的にはインターネットがこれだけ発達しているのだから全国区制を復活させて選挙カーを走らせるの禁止にしちゃえばいいんじゃないかなーと思うんですが、これもまたネットプロモーションにかけるお金が…みたいな話になるんでしょうね。

なかなか難しいです。

 

最後に。

選挙カーでどれだけ回ろうと、どれだけ名前連呼しようと投票行動にはあまり寄与しないという研究結果があるそうです。

そっちよりもポスターで選ぶ人のほうが多いんだとか。

そろそろ選挙カー文化なくせばいいのになーと思っているよこやまです。