【GPIFとは:年金運用の何が問題なのか】
GPIFをご存知の方ってどれくらいいらっしゃるのでしょうか?
ちょくちょくニュースで見る単語だと思います。
ニュースで紹介される場合ネガティブな表現で出てくることが多いのではないでしょうか。
例えば以下のようなニュース。
▼GPIF運用損5兆2342億円 2期連続赤字
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL26HJD_W6A820C1000000/
何が批判されているのか
なぜ赤字なのか
そのあたりをざっくりとお話しします。
GPIFとは
Government Pension Investment Fund
のことだそうです。
国民から集めた厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行っています。
みんなから集めたお金じゃ足りないので
資産運用して増やしましょうってことをやっています。
対象の金融商品は主に
国内債券(日本国債)
国内株式
外国債券
外国株式
の4つです。
これらに”いい感じ”に資金投入して資産を増やす努力をしています。
ちなみに所在地は虎ノ門ヒルズ。
資産運用における株式割合の増加
GPIF自体は2006年に設立されていますが
注目を浴びるきっかけとなったのは2014年10月末に報じられた一つのニュースでした。
▼GPIF、運用見直しを決定 国内株25%に引き上げ
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL31HDQ_R31C14A0000000/
これまで主に日本国債で資産運用をしてきたGPIFが
「このままの利回りでは年金制度が維持できなくなる!」
と、利回りの高い株式への資金投入増加を求めたことでした。
国債は手堅いのが、投入したお金に対してのバックが少ない。
株式は紙くずになる可能性はあるがしっかり運用すればリターンも大きい。
と考え、株式の割合を大きく引き上げます。
(変更前) (変更後)
・国内債券 60% → 35%
・国内株式 12% → 25%
・外国債券 11% → 15%
・外国株式 12% → 25%
(「変更前」が足しても100にならないのは、これらの他に”短期資産”があったからです)
これらを一気に捨て去って株式だけで50%を占める構成へと変更しました。
湧き出る批判
改変当初、「年金を原資にしてギャンブルをしていいのか!?」という批判はありました。
国債は利率が変わったとしても元本に必ず上乗せされて戻ってきますが、
元本を失う可能性がある株式への投資はまさに”ギャンブル”という指摘そのものです。
しかしながら、株式市場に大量の資金が流入するという期待感から、
大企業や投資家は諸手を挙げて賛成しました。
思惑通り株価は上がり続け2014年度には過去最高益をあげることに成功しますが
米国の利上げや中国不動産市場の冷え込みもあり2015年度はマイナス。
そして今季は年始来からの原油安、Brexit問題もあり株安基調。
各方面から批判が出始め現在に至っているというところです。
GPIFは「割合を変更することはない」
政権も「一時の下がり幅ではなく長期で見てもらいたい」
と主張しますが、
老後の生活どころか生死を左右する年金を株式で運用することの是非は
今一度問われてもいいのではないかなーと思います。