ほぼ週刊よこやま

ある一人の友達のために始めたニュース解説記事。私の視点から見えるもの。

【天皇の”お言葉”から見る日本の政治力学④】

随分長くなりましたが今回で終わりです。

そうこうしてるうちにこんな記事が出ました。

天皇陛下「お気持ち」菅官房長官

「内閣としてしっかり対応」有識者会議設置の可能性にも言及

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160821-00000535-san-pol

かなりやる気ない発言ですねー。

 

前回は安倍内閣を支える2つの団体

日本会議』と『神道政治連盟

をご紹介して終わりました。

彼らの主張を見ます(そのまんまコピペします)。

 

日本会議の主張

以下HPより(ほぼ)コピペ

http://www.nipponkaigi.org/about

[綱領]

一.我々は、悠久の歴史に育まれた伝統と文化を継承し、

  健全なる国民精神の興隆を期す

一.我々は、国の栄光と自主独立を保持し、

  国民各自がその所を得る豊かで秩序ある社会の建設をめざす

一.我々は、人と自然の調和をはかり

  相互の文化を尊重する共生共栄の世界の実現に寄与する

 

 

[設立宣言]

 我が国は、古より多様な価値の共存を認め、自然との共生のうちに、伝統を尊重しながら海外文明を摂取し同化させて鋭意国づくりに努めてきた。明治維新に始まるアジアで最初の近代国家の建設は、この国風の輝かしい精華であった。

 また、有史以来未曾有の敗戦に際会するも、天皇を国民統合の中心と仰ぐ国柄はいささかも揺らぐことなく、焦土と虚脱感の中から立ち上がった国民の営々たる努力によって、経済大国といわれるまでに発展した。

 しかしながら、その驚くべき経済的繁栄の陰で、かつて先人が培い伝えてきた伝統文化は軽んじられ、光輝ある歴史は忘れ去られまた汚辱され、国を守り社会公共に尽くす気概は失われ、ひたすら己の保身と愉楽だけを求める風潮が社会に蔓延し、今や国家の溶解へと向いつつある。

 加うるに、冷戦構造の崩壊によってマルクシズムの誤謬は余すところなく暴露されたが、その一方で、世界は各国が露骨に国益を追求し合う新たなる混沌の時 代に突入している。にもかかわらず、今日の日本には、この激動の国際社会を生き抜くための確固とした理念や国家目標もない。このまま無為にして過ごせば、 亡国の危機が間近に忍び寄ってくるのは避けがたい。

 我々は、かかる時代に生きる日本人としての厳しい自覚に立って、国の発展と世界の共栄に頁献しうる活力ある国づくり、人づくりを推進するために本会を設立する。ここに二十有余年の活動の成果を継承し、有志同胞の情熱と力を結集して広汎な国民運動に邁進することを宣言する。

 

 

神道政治連盟の主張

以下HPよりコピペ

http://www.sinseiren.org/shinseirentoha/shinseirenntoha.htm

[神政連とは]

神道政治連盟(略称・神政連)は、世界に誇る日本の文化・ 伝統を後世に正しく伝えることを目的に、昭和44年に結成された団体です。

戦後の日本は、経済発展によって物質的には豊かになりましたが、

その反面、精神的な価値よりも金銭的な価値が優先される風潮や、

思い遣りやいたわりの心を欠く個人主義的な傾向が強まり、

今日では多くの問題を抱えるようになりました。

神政連は、日本らしさ、日本人らしさが 忘れられつつある今の時代に、

戦後おろそかにされてきた精神的な価値の大切さを訴え、

私たちが生まれたこの国に自信と誇りを取り戻すために、

さまざまな国民運動に取り組んでいます。

 

 

[神政連の主な取り組み]

・世界に誇る皇室と日本の文化伝統を大切にする社会づくりを目指します。

・日本の歴史と国柄を踏まえた、誇りの持てる新憲法の制定を目指します。

・日本のために尊い命を捧げられた、靖国の英霊に対する国家儀礼の確立を目指します。

・日本の未来に希望の持てる、心豊かな子どもたちを育む教育の実現を目指します。

・世界から尊敬される道義国家、世界に貢献できる国家の確立を目指します。

 

 

この二団体に通底するもの

これらの主張から読み取れることは

「”昔”の“美しかった日本”よもう一度」という通底する意識です。

 

彼らの言う【昔】は、明治維新以後のことです。

「古の~」「悠久の~」等の言葉を使っていますが

明確に言及しているのは明治と先の大戦以後の2つのみで

その次代を強く意識していることが伺えます。

よって、【美しかった日本】というのは、

明治以降、欧州列国に対抗するため

国民が同じ方向を向き(向かざるを得なかった)

民よりも国が優先されていた時の国家状況のことです。

 

彼らは明治から大戦に進んでいった時代に

郷愁を感じているわけです。

 

天皇発言の真意

はじめに戻ります。

天皇が『お言葉』の中で伝えたかったことは

「そろそろ辞めたいねんけども」

ということでした。

 

彼がそんなことをいう必要があったのは

明治以降、天皇が終身制となったからです。

江戸までは譲位(今で言う生前退位)は当たり前のことでした。

天皇の終身制を終わらせるということは、明治以前に戻すということになります。

となると、明治から大戦までの時代が最良だ!と考えている人たち、

現在政治的パワーを持っている人たちは、当然渋ります。

(だから一番上に載せた記事のようにまったくやる気のない対応をします)

 

現内閣に「辞めたい」とそれとなく匂わせたところで

思惑とは違う方向に話が進んでいくだろうと理解した天皇

政治的発言が禁じられているにも関わらず

わざわざ政治的な発言をした。ということでした。

 

天皇の『お言葉』の意図を読み解くことで

どこが力を持っているかがわかるよね。

政権が目指す方向がわかるよね。

というお話でした。