ほぼ週刊よこやま

ある一人の友達のために始めたニュース解説記事。私の視点から見えるもの。

【入管法改正と労働力問題と参議院選と】

だいぶもりもりにしちゃったので、内容が薄くなるか回数が増えるかのどちらかです。

 

労働者人口の減少と海外労働力

海外の趨勢を見てもらえれば分かるように、基本的に”保守”派は海外からの労働力の流入を嫌う傾向にあります。

理由はだいたい、

 

1.賃金の低下

2.治安の悪化

 

の2つです。

自民党は”保守”の派閥なので基本的に海外からの人の流入にはかなり慎重な姿勢でした。

もちろん旅行などの一時的な滞在は可(というよりむしろ推奨)ですが、定住となると話は違うよ。ということです。

安倍氏自民党内でもさらに右寄りの保守論客なので、彼の支持層も含め外国人労働者の日本への門戸は堅く閉じられていると(少なくとも私は)思われていました。

 

ただ、皆様ご案内の通り人口の減少による労働力不足の問題は、いつかは直面する課題でした。

政府もそれは認識していて、今年6月に閣議決定された政府方針には、

「外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築する必要がある」

と書いています。

 

▼経済財政運営と改革の基本方針2018(’18/6/15閣議決定

http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2018/decision0615.html

 

ということで持ち上がったのが今回の《出入国管理法改正案》でした。

政府が提案している内容は、

1.在留期間の長期化(最大無期限まで)

2.一定の条件を満たした人の家族の帯同許可

です。

詳しくは以下のニュースを参照してもらえれば。

党内からも「無期限の滞在となると実質的な移民政策になるのではないか」という危惧が出ています。

年金や医療保険などの社会保障、居住地、報酬含む待遇など論点は多岐に渡ります。

自民党内の部会でさえここまでもめるわけですから、国会に上程されれば紛糾しそうですよね。

一応党内では了承を得たみたいですけど、不満や不安のある人は多いんじゃないかと思います。

 

入管法改正案、自民部会が了承 紛糾4時間(’18/10/29)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37072660Z21C18A0PP8000/

 

日本国内の潜在労働力

外国人労働力の確保にひた走る日本政府ですが、

『それよりも前に目を向ける人材がいるんじゃないですか』

というのがここでのお話です。

私の主張です。

 

日本には引きこもりの方が約100万人いると言われています。

 

40歳以上のひきこもりに支援なし 就労につなげづらいと判断か

news.livedoor.com

 

また、今日の参議院の代表質問で立民の吉川氏が指摘していたように”就職氷河期世代”にも光が当てられるべきでしょう。

就職氷河期世代で「不本意な非正規雇用労働者」は約51万人と推計されています。

 

▼人手不足を嘆いているだけではなく~中小企業は就職氷河期世代の積極採用を

https://news.yahoo.co.jp/byline/nakamuratomohiko/20180322-00082980/

 

そして、最大の潜在労働力はなんといっても”女性”です。約342万人(2014年推計)。

OECDの試算でも、

『女性の労働参加率が男性並みになると、2030年までの労働力は、ほとんど減少しない。』

とされています。

 

▼女性活躍推進の経済効果

http://www.esri.go.jp/jp/workshop/forum/140305/data/140305_siryo04a.pdf

 

当たり前の話ですが、ここに上げた方々は、日本の教育を受け、日本語を母語として操り、日本の習慣を理解している方々です。

すっごい大変な”教育”の過程を省けるわけなので、(あえてこういう言い方をすると)随分安上がりです。

外国人労働力も分かりますが、まずはこの潜在的労働力に着目すべきなんじゃないかなーという私見です。

 

参議院選対策

今回の入管法改正で受け入れ拡大を希望しているのが、

介護 / ビルクリーニング / 素形材産業 / 産業機械製造 / 電気・電子機器関連産業 / 建設業 / 造船・舶用工業 / 自動車整備業 / 航空業 / 宿泊業 / 農業 / 漁業 / 飲食料品製造業 / 外食業

 

 

の14分野なんですが、いずれも”地方”で人材不足が深刻な業種です。

臨時国会で審議・採決し、来年4月から導入したいというという政府のスケジューリングはあまりに急ぎすぎですが、これも参議院選前の選挙対策であると考えると合点がいきます。

自民党支持者は地方中小企業の経営者多いですからね。

ただ、これが裏目に出るのではないかと危惧する声もあります。

 

外国人労働者受け入れ拡大 自民党に慎重論(’18/10/26)

https://mainichi.jp/articles/20181027/k00/00m/010/081000c

 

自国への技術移転を目的とした『外国人技能実習制度』でさえ様々な問題が噴出している中、規制緩和を行って本当に大丈夫なのかという心配もあります。

労働人口の減少はいずれ直面する課題ですし、重要な問題でもあります。

一方で、”外国人労働力”と言われていますが、彼らも家族や友人を持つ一人の人間です。

人の人生を大きく左右してしまうことになる法案だからこそ、『選挙対策』なんかではなく、どちらにとってもハッピーな制度になるように、議員さんにはとことん議論して欲しいなーと思います。

今国会の最大争点になる、入管法の改正についてでした。