ほぼ週刊よこやま

ある一人の友達のために始めたニュース解説記事。私の視点から見えるもの。

【安倍ープーチン会談:プレス発表の意味】

2月1日の衆議院予算委員会民進党辻元清美議員が山口で行われた安倍ープーチン会談の内容についてとてもいい質問してたので政府側の答弁も含めて以下にそのまま載っけておきます(一部加筆修正あり。文言等微妙に違うところもあるかもです)。

ちなみに書き起こしたのは私ではなくbuuさん(Twitter : @buu34)という方。

この方国会審議をつだってくれるのでよく参考にしています。

かなり長くなりますが、国会は終始こんな感じです。

暇があれば読んでみてください。

 

久しぶりになりました。

みなさんお元気でしょうか。

この記事2日くらいに書き始めたのですがこんなに時間があいちゃいました。

その間に安倍首相は訪米しトランプと会談してますね。

そっちの方も言及したいのですがまずはロシア関係から。

以下のやり取りを読んでもらったら今回の記事はほぼ終了なのですが

それだけだと面白くないので個人的見解もチラッと混ぜて

お茶を濁す感じで終わろうと思います。

 

辻元質疑要旨と個人的所感

『山口でのプーチンとの会談で日露関係が(日本にとって)後退したのではないか?』

という辻元議員の質問に対し、

『そんなことはない。これまでないくらい日露関係は良好である。私がこれまでの日露関係に終止符を打ちます。』

と首相が意気込んでいるというのが大体の全容です。

 

それでは細かく見ていきます。

 

辻元が指摘したのは以下の4点。

1.首脳会談の直前で地対空ミサイルを国後島択捉島に配備された
2.露側には4島の名前を明記していない別の声明がある
3.島の名前を明記した両首脳が署名した文書の合意は結べなかった
4.経済関係などの覚書12本を結んだがこの半分くらいは非公開

 

個人的に気になっているのは2,3。

辻元質疑によると、これまでの外交文章では日本名で4島名を明記した文章が発表されていたそうです。もちろん両首脳のサイン入りで。

今回は4島明記の文章にサインできなかった(効力を持たせることができなかった)ばかりか、ロシアでは日本向けとは別のプレスが出されています。

となると、ロシア側では「日本が譲歩した」と取られるわけです。

4島名が入っていないロシア国内向けの別プレスの発表を許可したわけですから(勝手に発表すると信用問題に関わり外交問題になる)。

これまで先人たちや様々な外交官が『4島名の明記』という一線を守るために、食うか食われるかの外交交渉を一生懸命行ってきました。

再選確実と言われるプーチンに”お土産”を持たせることは大事ですが、

今回はさすがに譲りすぎだと思います。

ということでこういうことが起こってくるわけです。

 

北方領土への命名、ロシア「主権の行使」 日本に反論

http://www.asahi.com/articles/ASK2G7DC5K2GUHBI03V.html

 

『友好的』になったと思ったら寝首を掻かれるのが外交の怖いところ。

これから先の日露関係も平坦な道ではなさそうです。

 

ーーーーーー以下ツダリーーーーーーーー

【辻元】「稲田大臣かつて領土問題、すごく熱心『北方領土は不法占拠されていると言い続けなければならない。露の領有権主張に一遍の主張もない。露は我が国同胞を戦車でひき殺したり婦女凌辱をしたり、武器を置いてから北方領土を略奪したのですよ』露は北方領土を不法占拠している認識は変わらないですね?

 

【稲田】「防衛大臣として、この場で独自の見解を述べる立場にはなく、お答えを差し控えさせて頂きます」

 

【辻元】「『不法占拠という事も言えないような政府に、わが国の領土は守れません』ともおっしゃってます。防衛大臣は、守る立場でしょ?民主党政権の時、メドベージェフ大統領が国後に上陸した時に、自民党は(民主党の外交を)さんざん弱腰外交と~。

~15回もプーチン大統領と会談をしてきて。いよいよ山口県に来られる、おもてなしの直前に、国後と択捉に露はミサイル配備とは。

 

稲田大臣は、メドベージェフ大統領が国後上陸時、どういうことをおっしゃったか。

国会では『メドベージェフが二度も(’10、’12)国後上陸をしているのに、日本の外務大臣がノコノコと露を訪問する(民主党の玄葉外務大臣が’12に露訪問)、大臣は秋田犬をお土産に露まで行くんですか?』さんざん罵倒。

 

安倍総理は)15回会談して、いよいよという時に、国後と択捉にミサイル、これ現状変更ですよ、明らかに。これに対して3千億円とも言われる経済協力を決めていくと。上陸も問題だけど、ミサイル配備の方が実質的に問題じゃないですか。秋田犬も貴重だけれど、3千億円の経済協力の方が大きいんじゃ?

総理はお気の毒だと思った。私、腹が立ちましたよ。あんなに、ウラジミールとか言って頑張ってたのに。土壇場で、ミサイル突きつけられて、喉元に刃突きつけられた、これは、何かちょっと、日本舐められてるんちゃうか、総理がお気の毒になりました。これ、現状変更に対して、総理、こんな状況でミサイルを撤去してから、今後の交渉、経済交渉も進めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか」

 

【安倍】「従前からロシア軍は軍を展開しているわけ、であります。先ほど現状変更とおっしゃいましたが、現状変更とは、現状変更ということではなくてですね、そもそも、この4島は、わが国固有の領土だということは、申し上げているわけでありまして。そもそも、その段階で、現状を変更されたわけでありその後の現状変更について、我々、言ってるわけではないんです。

そもそも、この4島について、法的根拠のない占拠が行われていると言う主張。軍の配備は、今までも、随時、様々な配備が行われてきているのは事実。いずれにせよ、この問題、(ヤジが入って)皆さん、静かにして下さい。大切なところなんですから。

 

軍備強化については、わが国の立場と相いれず、遺憾である旨を露側に明確に申し入れている。だからと言って、平和条約交渉の歩みを止めるわけにはいかないのは当然のことじゃありませんか。そのために15回会談をかさねて来て、こうなったということを、嫌味たっぷりにおっしゃったわけでそういう努力を積み重ねて行かなければ、決して結果は出ないんです。

批判を恐れるんであれば、努力をしなければいいだけであります。しかし、批判されるというリスクも犯して、進まなければ、70年間一歩も進んでこなかった問題なんか解決するわけないじゃないですかっ。

そこでですね、経済援助、いわばODAじゃ、もちろんないわけですよ。経済協力でありまして。~ウィンウィンの関係。ODAとは、G8に入っていた国と、ODAやるなんて、そもそもありえない話でございまして(辻元はODAに一言も言及せず)有償でやるのは当たり前のこと。

 

【辻元】「その成果物についてお尋ねしたい。プレス向け声明が出された。今までさまざま共同声明など出されていますが、首脳両者のサインがない。政府当局間の合意文書になっていない。プレス向け声明、誰と誰が行ったものなのか、外交文書のレベルが今までの物に比べはるかに弱い。なぜ?」

 

【岸田】(外務大臣)「要は、重要なのは、文書ではなく、会議全体の成果であると認識をしている。2013年4月の段階で、それまでの5つの文書に基づいて交渉。~その上での、今回の会議の成果は、中身が重要。成果をどのように公にするか、両国協議の結果。今までの成果文書を踏まえた上で協議。大きな成果を上げた。」

 

【辻元】「日本向けと、露向けで、文書、違う。私クレムリンの大統領府が露語で出したものを持っている。日本向けには4つの島、名前が入っている。露側が発表した声明には4島の名前が一切入っておりません。これがここで合意できなかったから。

歴代の声明・宣言は、両者が確認するため4島の名前を入れた。しかし今回は、日本向けと露向けと二種類あった。この表記が一切なされてないのが露側の声明。」←ココ大事

 

【安倍】「そこがポイントなんです。書いてないじゃないですか、ここに。何で書いてないのかなぁ、2013年に、2013年に、2013年の4月に、2013年の4月に(発言通り)共同声明書いてますよ。そこにですね。先ほど答弁されたように、採択された全ての諸文書に基づいて交渉と確認。

つまり、全てを確認したんですよ。~まさにこれ、毎回ではなく、私とプーチン大統領の間では、これを基礎にしようと、もう決めたんですよ、決めたの。それを基礎にすることの上に、今回、プレス声明として発出をさせて頂いた。」

 

【岸田】「プレス声明としたのは、両国の協議の結果。~官房長官ブリーフで明らかにしておりますが、北方4島の呼称が一致しないため、共同声明との名称を使わず、調整した内容をそれぞれがプレス声明として発表。~露側が異なる呼称を用いたとしても、わが国の立場を害するものではない」

 

【辻元】「今総理がおっしゃった、その前に結ばれたものが、署名があるかどうか確認したいので、後で提出して。

今、呼称の問題は、あまり大きな問題ではないという、外務大臣のご発言。露で合意されたものにも、4島の名前は抜け落ちている。

安倍総理になってから、4島の名前は入ってない。歴代、先輩がたが何を努力してきたか。露の呼称を使わせないということ。~ゴルバチョフさんの時、何とか4島の名前を両方の文書に書くことが課題だった。日本の名前を明記させるため、歴代の人たち、領土交渉、簡単に出来なかった。最後、国後択捉2島の名前を入れさせる、出来たことが最大の成果。」

 

【岸田】「まさに露側の呼称を我が国が認めないからこそ、今回、プレス声明と言う形になった。わが国が、この呼称を認めるということではないと、考えております」

 

【辻元】「2013年の、私見ておりますが、4島の名前、安倍総理になってから消えてるんです。今回も、これが領土問題の核心ですよ。日本としては、ここをしっかり明記する、そこが決裂しちゃったわけじゃないですか?だから結局合意文書ができなかった。

~今後のバトンリレー、安倍政権もいつまで続くか分からない。文書、核心の部分は両者が一致した文言で書かねば。

 

露側は別に書いてもらってもいいですよ、など、外務大臣、そういう理解をされているとしたら、外交交渉の基本を踏み外していると思いますよ。

実際に、総理も露に行かれると言いますが、もう一度、両者がしっかりサインを。これだけ大型の経済協力もやっていくのだから、4島で、その基礎となる合意、相手がミサイルを配備し、その中でどうやって主権を守って共同の経済活動ができるか、非常に難しい。

私の質問に対して直ぐ反発されるけど。私の質問に反発してるようじゃ、プーチンさんやトランプさんに対抗できませんよ。これだけの大型の、リスクも伴いますよ、企業も巻き込んでやる、ここはキチンと、両者がサインをし、4島の名前が入る宣言を、もう一度交渉されては?」

 

【安倍】「外交ですから色々あるんです。これが戦果と、一瞬誇ったところで、結果が出なければいけない。私はバトンを渡そうとは考えていない。私は、私の手で、平和条約を締結しようと、こう考えているんです。プーチン大統領との間に、平和条約を締結していきたい。

そうでなければ、そうでなければ、今まではともすれば、歴史的な経緯、国際法的な立場についての議論に終始をしていた。こういう議論を続けていても、確かに大切ではありますが、これで領土が返ってくるんですか?返るはずがないじゃないですか。

これで我々が、たとえ、相手を論破したところで分かりました、お返しします、と言う風にはならないんですよ。そこに難しさがあるんです。我々は残念ながら70年間たって、ここには残念ながら日本人は住んでいないんですよ。向こうは3代目になってしまったという中に於いて、どうやって、それを取り返すかという大きな絵をかいていくことが大切であって、今までの延長線上では返ってこないですよ、辻元さん。それをはっきりと私は申し上げることが出来る、と、だから、だから、今度は新しいアプローチをとった。

 

様々な批判があることは私は覚悟しています。でもそれをやらなければ、もう80歳を超えた島民の皆さんが日本に帰属が移るということを了解するはずがないじゃないですか。ですから我々は、そっから始めなければならない、こういう決意を、大きな決意をしたわけでありまして。これを、ただ批判だけされるというのは、大変残念でございます」

 

【辻元】「島民の皆様にご理解を頂いたら、日本に返してもいいかなという機運が生まれるとおっしゃったんですが。それ、ずっと総理は記者会見の時もおっしゃって、プーチン大統領とすごく温度差がありました。プーチン大統領は、島民の納得ではなく、モスクワが決めるんです。

プーチン大統領は『日本の友人たちは、この問題、日米同盟に関する露側の懸念を考慮するように望む』と~北方領土が返って来た時、日米安保条約が適用するのかどうか。ここが焦点なんです。気運をつくって?だから敢えてプーチン大統領は雰囲気と言ってました。雰囲気作って返ってくる話ではない。

11月に谷内局長が、モスクワで交渉した時、露側はこの話を出したんじゃないですか?日本としては、日米安保条約の適用外ということは言えないと。米軍基地を置くことも排除できないと、そこで一旦決裂したんじゃないですか?日米安保条約と、北方領土問題をリンクさせた、ある意味の根回し、道筋がない限り、なかなか難しい。ここが核心。だから、そこに解党が見つかってない時に、最大限の経済支援のカードを切っちゃった。次、どんなカードを出すんですか?あらあらの見通しがたって、経済のカードを切って交渉するのが外交。

いくら私の代でやりたいと、総理の意気込みは分かるがミサイルの配備、これが物語っている。

向こうは、飲みませんよ、安保条約との関係も了解してませんよというサインじゃないですか。もう、この日露の交渉、総理も15回もやった、国民の期待値も高まった、退くに退けなくなって、日本が持ってる最大のカードを切ってしまった。

今後どのようにパズルを、解決していくのか、どのカードを切るのか。後退したし、このまま経済交流をしていけば解決するような、簡単な問題ではないと思う」

 

【岸田】「昨年11月、谷内国家安全保障局長がパトリシェフ安全保障会議書記が意見交換を行ったのは事実。~ご指摘のようなやりとりが行われた事実はない」

 

【安倍】「それとですね、最大のカードとおっしゃるんですが、二つに分けて考えて。極東に対する8項目の経済協力と、4島の経済活動。分けて考えて。8項目についてはウィンウィン。~4島においては、意義があるのは、お互いの立場を害さないということなんですよ。

 

~特別な制度を作る、これは進歩じゃないんですか?特別な制度のもとで、4島で今まで活動できましたか?できないんですよ。完全にソ連の(文言そのまま)制度の元でしか、活動できない。そこから始めなければ、いきなり4島が返るってことはないんですよ。先ほど雰囲気だけで返ってこないと、当たり前ですよ。雰囲気だけでは返ってこない。しかし雰囲気がなければ、私が申し上げたのは、4島に住んでいる1万7千人の露人を『お前ら、出て行け』ってことは、なかなか出来ないですよ、それを前提としたら、そもそも平和条約交渉はできない、これは断言してもいい。だから、この4島に~最後に決断するのは、これはプーチン大統領、モスクワが決断するのは、厳然たる事実ですよ。しかし、決断を行える状況を作っていくということが、極めて重要。私は実際プーチン大統領と、長々と、様々な問題について話をしました。当然温度差はありますよ。向こうは70年間持ち続けてきたんです。

 

日本は返せと言って、なかなか実現できなかったという違いがあるんです。向こうは厳然たる事実として、持っている。そこで、いわば、まさに(、我々は、これに対して、4島の帰属問題を解決をして、平和条約を結ぶという主張をして、一環として、それにたどりつく一環として、特別な制度の元での経済活動やろうということについては一致をしているわけでありますし、同時に平和条約が一番大切だということを、プレスに向かって日本国民に向かって、はっきりと宣言したのも事実であります。こういう点を見て頂きたい。経済条約を優先して平和条約を後回しにすることもない。

はっきり言ってるんです、ロシアの大統領が、そういうことを言ったのは初めてでありますから、そういうところも評価をして頂きたい。最初から相手を、根本的にうたぐりあっては、交渉というものは、そもそも成り立たないんですよ。我々は信頼関係を作り、交渉を一歩ずつではありますが、進めて~」

 

【辻元】「信じることは大事だとは思いますが、15回も会って、土壇場でミサイルの配備をするかってことなんです。この意味を、総理は、人がいいのかしら、私より。よくお考えになった方がいい。ここまでやられて。ファクトを申し上げましょう。

安倍総理は15回プーチン大統領と会談をした

②土壇場で地対空ミサイル、国後島択捉島に配備された

③露側には4島の名前を明記していない別の声明がある

④島の名前を明記した両首脳が署名した文書の合意は結べなかった

⑤経済関係などの覚書12本を結んだ、この半分くらいは非公開

今回の交渉は、最後の土壇場で、相手に入れ込まれた。ここまで来て、ミサイルを配備されてるのに、どんどん進めればって言うのは、ちょっと甘いと思うんです。これ、私の苦言です。総理は過信外交になっていると思います。私がやれば何とかなる、個人的な信頼を作れば何とかなる。

トランプ大統領の時も、お会いになった3日後に、TPPひっくり返された。今回、しっかり発言して欲しいと思うのは、トランプ大統領が7か国の入国を制限している件について。各国首脳、なぜ発言しているか、自国にテロが及ぶのを恐れている。~トランプ大統領の措置は、テロを誘発する、そこに意見を言わないのは、同調していると見られる。2月10日に会ったときに、テロとの戦いを同盟国として、最大限に支持しますとか、あまりおっしゃらない方が。2年前、ISの人質が殺された時、総理はエジプトで演説をされました。演説が引き金になったという指摘もあります。演説の中身は悪かったとは思いません。しかしタイミングがある。各国首脳は、国民の命を守るために、しっかりとした異議、批判をしております、総理も、国民の命を守ろうと思われるなら、日本にテロを誘発したくないと思われるなら、コメントを出した方がいいと思います」

 

【安倍】「北方4島について、我々は決して後退していないのは事実。まるで後退しているかのごとく決めつけるのは、止めて頂きたい。私は確かに辻元さんより人はいいかもしれませんが(辻元「だから心配してるのよ」)交渉力はしっかりと(辻元「ど~かなぁ」)あるんだろうと、このように思っている次第

その上において、北方4島の問題については、4島の皆さんの、まさに、理解を進めるという事に於いて、~大切なことは、いわば、お互いの立ち場を害さない形の制度を作ることにポイントがあって、これは今まで出来てなかったんですから。出来るということは間違いない、しかも、平和条約への一環

 

寛容と和解の力については、真珠湾において、オバマ大統領とともに演説を行った際~その立場は今でも変わらない」

 

【辻元】「トランプ大統領は取引外交と言われ、プーチン大統領は強権外交だと思います。私は、人のいい安倍総理が手玉に取られないか、心配をしております、終わります」