ほぼ週刊よこやま

ある一人の友達のために始めたニュース解説記事。私の視点から見えるもの。

【来年の宿題:金融政策の出口戦略】

とりあえず今年最後です。

「今年最後!」って意気込むと

「最後にふさわしいものを…」と

余計なことを考えてしまうので書きたいものを書くことにします。

本日もお付き合いください。

 

アベノミクスのおさらい(大事なので)

まず出口戦略を理解するために、なぜ出口戦略が必要なのかという話が必要で、なぜ出口戦略が必要なのかという理解をするためにはアベノミクスをもう一度おさらいする必要があるのでアベノミクスの話をします。

 

アベノミクスは…

・日銀の国債買い入れによる市場への資金供給

・日銀の株価買い支えによる企業への資金供給

 

 

です。

 

「日銀がお金いっぱい刷って、世の中に出したら景気回復するんじゃない?」

っていうのがメインの考え方。

もともと日銀はこのやり方をするのを嫌がってたんですが、

トップが今の黒田さんって人に変わってから方針転換。

一気に進み始めることになります。

 

ちなみに、中央銀行(日本の場合は日本銀行)は政府から独立していることが求められます。

なので例え政府からの求めがあったとしても中央銀行が受け入れられないと判断した場合は拒否することもあります。

黒田さんの前(白川さんという人でした)の総裁がなぜアベノミクス的な政策を嫌がっていたかと言うと、

 

>「マネタリーベース(お金の供給量)を増やせば物価が上昇するというリンク(相関関係)は断ち切られている」

 

>「すべての経済現象を貨幣現象だけで説明できるわけではない」

 

 

と考えていたからです。

 

▼日銀:白川総裁が退任会見 リフレ政策に懸念の発言(’13/3/19)

web.archive.org

 

ざっくりいうと、「それで景気は回復しない」と思ってたからですね。

ただ白川さん、デフレの要因を「財政不安」だからだとも言っていて、そこあんま関係ないんちゃうかなとも思うんですけどそれはさておきます。

 

出口戦略とは

さて本題です。

日銀は、「政府発行の国債」や「株式」を大量に購入しました。

どちらも中央銀行の仕事ではないですし、国債の買い入れは通貨の信用を落とすため”禁じ手”とされている(通貨発行を行う中央銀行が買い入れるとなると際限なく国債発行できるから)ので、

どこかのタイミングで”普通”に戻していく必要があります。

この時の”普通”に戻すというのは、国債と株式を手放していくこと。

そして”手放していくこと”がイコール『出口戦略』です。

(長かった…分かってもらえたかな…)

 

株や国債を大量に買う→株や国債を売る

 

という作業に転換しないといけないわけなんですけど、

いっぱい買ってしまったが故に問題が生じます。

株価が下落しちゃうんです。

 

日銀は株の銘柄を一つ一つ指定して買ってるわけじゃなくて、おっきい会社のをまるっとひとまとめにしたものを購入しています。

 

▼日銀、株をどう買っている?(’18/12/13)

www.nikkei.com

 

で様々な企業の大株主になってしまっています。

 

▼企業の4割、日銀が大株主 イオンなど5社、実質「筆頭」(’18/6/27)

www.nikkei.com

 

通常は企業の業績や将来性なんかで株価は変動するわけですが、

こうなると日銀の行動如何で株価の変動が起こります。

トレーダーや資本家が気にしてるのは、

「日銀が”いつ”売るか」

ということ。

日銀が売りに走れば株価は下がります。大株主ですから。

となれば、損したくないトレーダーももちろん売ります。損したくないから。

そうするとさらに株価が下がります。企業は業績不振になります。

みたいな悪循環が生じます。

 

これをどう影響与えずに売りさばいていくかが重要になるわけなんですが、

どうやら日銀はまだその状況にないと見ているみたいです(もちろん売っていきますって宣言すれば株価下がりまくるのでそんなこと言えるわけもないのですが)。

 

▼出口戦略議論は時期尚早、現在の緩和を粘り強く継続=黒田日銀総裁(’18/12/6)

www.asahi.com

 

ただ、年末に明らかになったように世界情勢も株式市場も不安定さを孕んでおり、

いつどうなるかわからない状況です。

仮に2万円で買っていた株が1.8万円になったら10%ダウンですよね。

今年1年で6兆円ほど買ってるらしいので仮に10%ダウンしたら6000億円の含み損になっちゃいます。

財政が悪い悪いと言われている中でさらに財政を悪化させてしまいます(あくまで見かけ上なんだけれど、それでも)。

で、最終的な負担は国民にのしかかってきます。

ちょろちょろと買ってたうちはあまり問題なかったんですけどここまで額が巨大になると与える負の影響がめっちゃくちゃ大きくなります。

日銀内でも相当焦ってるんじゃないですかね。

残された時間は意外に多くないと思います。

日銀と政府に課される、来年の大きな宿題になることでしょう。

 

ちなみに…

以下の2つの記事を読んでもらえると大体伝わると思います。笑

 

▼焦点:日銀ETF購入の「出口」、市場が描く5つのシナリオ(’18/1/24)

jp.reuters.com

 

▼日銀「出口戦略」に立ちはだかる「18兆円爆弾」の処理方法―鷲尾香一(’18/4/23)

www.huffingtonpost.jp

 

ということで今年も1年お付き合いいただきありがとうございました。

この後今年の10大ニュース載っけます。

 

 

来年もほぼヨコをどうぞよろしくお願いいたします。