【プーチン発言から読み取る今後の日露関係】
さぁ大きく出ました。
今日の朝に「プーチンが在日米軍問題について発言」と流しました。
その話短文でポイポイ投げようかと思ったんですけどこれ2年前の年末から続く大きな流れの中にあるのでせっかくだから書きます。
ちなみに発言の要旨は以下。月末で通信量厳しいかもだけど見てね*
▼プーチン大統領、年末恒例会見 北方領土への米軍展開懸念(’18/12/21)
これまでのここ最近の北方領土を巡る日露間の色々は2016/12/22,27,30の【プーチンの訪日:日本が得たものと失ったもの①②③】に詳しく書いてますのでそちらをご参照ください。
*注*今回の記事は多分によこやまの想像(ないしは妄想)が含まれますので話半分くらいで聞いておいてください。
プーチン発言要旨
毎年恒例になっているプーチンの年末会見。
何時間もぶっ通しで世界中の記者の質問に答えるスタイルが人気を博しています。
今年も行われたわけなんですが、在日米軍への言及はこの会見の最中になされました。
米国や中国の記者の質問は頻繁に取り上げられるそうなんですが日本人記者の質問はプライオリティは高くないらしく、毎年取り上げられるわけではないそうですが今年は海外メディアの中で2番目だったそうです(ということは補足的にお伝えしておきます)。
発言は、日本メディア(共同通信だったらしい)が(当然)日露の平和条約締結について質問した際。
逐語訳はわからないので朝日新聞論説委員の駒木明義さん( @akomaki )のTweetを参考に発言の概要を以下に示します。
論点は基本的に…
1.平和条約締結に際し安全保障の問題は非常に重要
2.沖縄米軍基地の強化(辺野古の基地建設や防衛ミサイル配備)が気がかり
3.在日米軍について日本は主権(決定権)があるのか(地元知事も世論も反対しているのに)
4.日本との関係性は経済的にも前に進めていきたい
というあたり。
驚いたというかまぁそうだよねと思ったのは辺野古の基地建設は在日米軍の”強化”だと捉えていること。
現在、辺野古の基地建設は「沖縄県の負担軽減(=普天間基地の返還)」の名のもとに進められているんですが、辺野古に基地ができても普天間の返還は”確約”されてないんですね。
▼<社説>今日辺野古土砂投入 傍若無人の一語に尽きる(’18/12/14)
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-848444.html
>米政府は、~中略~八つの条件をつけている。(これらを)満たさなければ普天間飛行場は返還されないと、稲田朋美防衛相(当時)も国会で明言しているのだ。
ロシアから見れば
なわけでその中でもアメリカは脅威中の脅威なんですけどそこの軍隊がこれから仲良くしていこうとしている国で大手を振って歩いてたら「それはちょっと…」ってなりますよね。
だから、
「北方領土に米軍を置かないとの日米間の”公式”合意が必要だ」
と発言しています。
▼北方領土“米軍置かず” プーチン氏が日米合意要求(’18/11/14)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000140758.html
日米間のパワーバランスだと”公式”なものでないと反故にされちゃいますからね。
ロシアの不安ももっともです(そもそも米軍基地に関しては日本に決定権はなくアメリカ軍から降りてくるものをただただ採用しているだけです)。
基本的に国のトップの発言にはだいたいメッセージが乗っかります。
今回の場合、プーチンからのメッセージは、
「アメリカ軍基地なんとかしてくれたら平和条約締結もありえるよ」
ということ。
日露平和条約締結を成し遂げ歴史に名を刻みたい安倍首相(←よこやまの想像ね)に対し米軍基地というバーターを差し出した。
と見ていいのかなと思っています。
今後の日露関係
さて、そもそもこういう経緯になったのも、アメリカの中間選挙の結果が影響しているんじゃないかと見ています。
2016年末、親露派のトランプ米国大統領が誕生し日本は袖にされました。
トランプがレームダック化する可能性が出てきたため、再度日本に近づきアメリカ軍の脅威を払拭しようとしているのではないか。
というのがよこやま的見立てです。どうなんでしょうね。
それを前提に日本が取りうる選択肢は2つ。
1.これまで通り対米従属(アメリカとの”密接”な関係)を続ける(=平和条約は締結しない)
2.米軍基地の縮小を画策する(=日米関係の大きな転換点に)
のどちらかだろうと思います。最終的には…です。
でも当面は第3の道(いつものことですが…)の、
3.双方に良い顔しながら事態を先延ばしにする
を選択するでしょう。
となれば、ロシアとは”密接な関係”になっていかざるを得なくなるでしょう。
だって平和条約結ぶ努力しようねって外交上で言っちゃってるんですから。
けどそれが遅々として進まない。
となれば、まずは経済の分野で進めていくことになります。
今回のプーチンの発言の中に
「経済的に(日露関係)は前進している。日本の市場はロシアの肉やチキンに開かれようとしている」
というものがありました。
これまでの日本の傾向から問題が棚上げされることを見越し、それならばと経済での連携を先に進めていきましょうと提案するのではないか。
年金の受給開始年齢引き上げや経済の停滞で支持率が下落しているプーチン政権にとって、日本のマーケットを開放させることで支持率の回復を目指したいのではないか。
と見るのは考えすぎでしょうか。
あながち間違ってない気もするんですけど、今後、日露の経済連携協定なんて話題が出てきたらたぶん上に書いたような流れです。
さてどうなるんでしょうね。