【水道法改正(水道の民営化)について】
臨時国会でしかも期間も短いのに大切な議題が次から次にやってきてパンクしかけです。
漁業法の改正についても触れたかったんですけどまずはこっちから。
水道法改正案の現状
のち、
参議院の本会議で賛成多数となれば法案が成立します。
▼水道法改正案、参院委で審議入り 民間に運営権委託(’18/11/22)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018112201001449.html
昨日、参考人質疑(与野党それぞれが推薦した専門家や識者を国会に招いて質疑を行うこと)が終わり採決まで秒読みに入ってます。
ちなみになんですけど、参考人質疑って絶対やらなければいけないものじゃないのですが、
国民への影響が大きい法案については参考人質疑と公聴会(与野党議員が利害関係者など一般からの意見を聞くこと)がセットで行われることが多いんですね。
水道法もですが入管法もかなり影響大きいので公聴会すべきだと思ってます。
ということで、もうすぐ通っちゃうよ。ってとこまできてます。
水道の「民営化」が叫ばれる経緯
設備の老朽化が最大の問題です。
特に水道管の耐用年数が迫ってきており大幅な改修作業が必要になっているにも関わらず、
更新費用が捻出できていないからです。
▼横浜市も悩む「水道の老朽化問題」の行方は?(’18/6/4)
https://toyokeizai.net/articles/-/223419
それで、
「民間なら効率的な運営ができる」という
いつものマジックワードを使って乗り切ろうとしているわけです。
問題点
今回の法案では、自治体が設備等の所有権を持ち続け一定期間の運営権を売却する
『コンセッション方式』
というものが採用されるそうなんですが、
料金の改定・徴収や質の担保まですべての”運営に関わる権利が売却されるので実質的な民営化と言えます。
今でこそ電気は色んな会社から選べるようになりましたけど
水道は基本的に一社独占になるため競争原理が働きません。
つまり、料金を押し下げるメリットが会社にとってないんですね。
そもそも資本主義社会での”企業”の目的は利潤の最大化です。
まず値上げに走りますよね。
海外でも民間が水道事業者となっているところが多いのですが、
料金の高騰や水質の低下で”再公営化”されつつあります。
▼再公営化されたパリ市の水道事業、日本が学ぶべきことは(個人ブログ)
https://news.yahoo.co.jp/byline/hashimotojunji/20181002-00099032/
フランス・パリだけでなくイギリスやアメリカ等でも同じような事例が起こっています。
そもそも公共性の高い”水”を利潤を求めるための”商品”としてしまうことに違和感を感じるんですが、それよりも何よりも衝撃的だったのがこのニュース。
▼水道民営化、推進部署に利害関係者? 出向職員巡り議論(’18/11/29)
https://www.asahi.com/articles/ASLCY6F37LCYULBJ018.html
本法案が通った際に、水道事業の担い手となる会社の社員(フランスヴェオリア社の日本法人の社員)が、
公共部門(もちろん水道を含む)の民営化を推進する
『内閣府民間資金等活用事業推進室』
というところに出向で来てることがわかりました。
さすがにあからさますぎるやろ…
と思うんですがお咎め無しだそうです。
水道に関わる設備の問題は待ったなしなので考えないといけない問題なのですが
民間に丸投げしてそれで終わりというのはあまりに雑だと思うんですよね。
そもそも民間だからこそ問題が起こったときに責任を全うしてくれるのか不安だという主張もありますし大いに納得できます。
水は命に直結する問題です。
だからこそ、
「民間にまかせとけばいいんじゃないの」
というような結論ありきじゃなくて、真剣に話し合ってもらいたいんですけど、
衆議院の審議はわずか8時間で、参議院でももうすぐ通りそうです。
そんな状況です。