ほぼ週刊よこやま

ある一人の友達のために始めたニュース解説記事。私の視点から見えるもの。

【入管法改正案の問題点】

こんにちはー。

27日の法務委員会の審議と、本会議の様子を見て打ちひしがれた横山です。

なんか国会軽視も甚だしいんですよねー。

何はともあれ今回提出されている入管法の改正案がどう問題なのか書いていきます。

お付き合いくださいませ。

 

国会での法案の決まり方(おさらい)

ご承知の通り、27日に入管法の改正案が衆議院を通過しました。

国会での法案の取扱についておさらいしておきます。

国会が始まると一番始めに総理から

「今回はこういうことをやっていきたいです」

というスピーチがされます。

所信表明演説などと言われるものですね。

そして、政府の側から、

「こういうことについて審議をしてくださいね」

と法案を示されます。

 

ちなみに政府案を推敲する際、与党議員からの意見を法案の中に取り入れます。

今回の入管法の改正案を作る際も、自民党の”部会”と呼ばれるところで了承を得てから国会に出されています。

 

入管法改正案、了承先送り 自民部会(’18/10/25)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36923210V21C18A0PP8000/

 

なので、実は国会審議で与党側の議員が質問することってあんまりないんですよね。

気になることは部会で全部質問し終わってるはずなので。

その後に新しい論点が出てきた場合は別なんですけど、通常そういう場合は差し戻されて法案作り直しになったりします。

 

ちょっと話がそれました。

与党の部会で了承を得た法案は各”委員会”にあげられます。

入管法の改正案は“法務委員会”というところで議論されることになりました。

ここで各委員会の委員が色々な議論をします。

国会といえばよくテレビに映る本会議場をイメージしがちですが、

本当の論戦の場は各委員会なんですね。

委員会で採決して賛成多数となったものが本会議で採決されます。

それが衆議院参議院と移り両院で承認され初めて法律となります。

つまり…

 

(与党部会)

  ↓

衆議院委員会

  ↓

衆議院本会議

  ↓(参議院へ送付)←イマココ

参議院委員会

  ↓

参議院本会議

  ↓

衆議院本会議)←衆議院の優越

  ↓

  成立

 

 

という流れです。

参議院で否決された場合は、”衆議院の優越”により衆議院の2/3の議員の賛成により可決することが可能になります。

 

かなり長いプロセスを経てようやく法律となるわけなのですが、

それは”法”は仕組みを間違えれば人を殺すこともあるからです(大真面目)

だからみんなで熟議しようって構造になってるのが国会なんです。

そのために色んなルールや慣習なんかがあるわけです。

 

最大の問題点

さて今回の最大の問題は、

『法案が法の体をなしておらず議論のしようがない』

ことです。

以下、『現在決まっている事項』とそれに対し『普通に考えたら出てくる疑問点』を列挙します。

 

《決まっている事項》

・日本に滞在できる新しい資格を設けること

・それは”特定技能”があると認められた人であること(簡単な1号、難しい2号がある)

技能実習生→特定技能者というルートを想定している)

・特定技能の有無を確かめる認定試験があること

・来年4月に施行開始すること

 

 

くらいです。たぶん。

抜け落ちてたらすみません。

 

《出てくる疑問点》

・どんな業種に認められるの?

・業種による受入人数はどれくらいなの?

・待遇はどうなるの?

・今、技能実習生の待遇の酷さが問題になってるけど大丈夫?

社会保障はどうなるの?保険は?年金は?

自治体の受け入れ体制は?

・東京に集中してしまわない?

・2号は家族の帯同OKだけど学校とか自治体とか大丈夫?

・語学の支援とかできる?

・そもそも今作って4月に間に合う?

・・・

 

 

などなど尽きないと思います。

当然これらの質問をするんですが政府は、

「細かいことは、法案が成立してから決めます!とりあえず人手が不足してるんです。すぐに法律を変える必要があるんです。」

って説明をします。

 

この決定事項だけで決めれないですよね。

なので

「”特定技能者”になると予想している”技能実習生”の現状を教えてください」

ということで情報開示を求めたんですけどその情報が間違ってたんですね。

 

▼誤集計の失踪実習生調査、元データを与野党に開示 法務省(’18/11/19)

https://www.sankei.com/politics/news/181119/plt1811190013-n1.html

 

これもともと政府は”開示しない”って言ってたんですけどね。

で野党側は、

「法案の元となるデータが間違ってるんだったら、そもそもこの法律いるかどうかも問題だよね。そっから話し直さないといけないんじゃない?」

ってことを言ったんですけどそれを無視して採決して今に至ってます。

 

だらだら書いてたら長くなってしまった…

というわけで、この法案とその審議内容は、

 

1.人手不足だから外国人材を入れられるようにしたい

2.時間がないから中身は政府側で決めさせてほしい

 

ということなんですね。

これって政府が国会に対して

「議論はどうでもいいねんけど、手続きだけ必要やからしてくれへん?」

って言ってるってことなんですね。

 

政府と国会は、行政府と立法府として(司法も含め)互いを牽制し合う立場であって、

媚びへつらいながらただただついていく、阿諛追従する立場ではないんですね。

さらに言えば色んな人の知恵や考えを持ち寄って国民のために議論しながらより良い法案にしていく場が国会なのに、

って最初から結論ありきなんだったら議員も議会もいらないじゃない。

それって国会議員を選出している有権者をも軽視してることじゃない。ってなるじゃないですか。

今までそれなりに政治を追ってきましたけどこんなこと過去になくて、非常に悲しい気持ちでいっぱいになりました。

 

最近の国会見てるとどうも

「法律は作ってください。中身は政府が考えますから。」

タイプのものが多いんですよねー。

そうなると国民のチェックが効かなくなるんですよね。

非常に憂いています。

 

ということで、入管法改正案の問題点と言いつつ、基本的には最近の国会への愚痴になってしまいました。

今の政治は、そんな感じになってます。