ほぼ週刊よこやま

ある一人の友達のために始めたニュース解説記事。私の視点から見えるもの。

【働き方改革法案成立にあたって個人的雑感】

先ほど「働き方改革」法案が参議院本会議で可決され成立しました。

 

▼「働き方改革」法が成立=TPP11関連も-参院(’18/6/9)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018062900148&g=pol

 

 

働き方改革法案成立を受けて

元は「長時間労働の是正」が目的で、

「労働者からのニーズがある。だから成立させるのだ。」

と息巻いていた官邸も、データの改竄(瑕疵と言い張っている)が見つかり、

最終的にはその前提をもひっくり返してしまいました。

その時の総理答弁を置いておきます。

 

▼ 6月25日の安倍総理答弁(参議院予算委員会より / 伊藤議員(国民)の質疑において)

高度プロフェッショナル制度はですね、産業競争力会議で、経済人や学識経験者から制度創設の意見があり、日本再興戦略において、とりまとめられたもの。

その後、労使が参加した労働政策審議会で審議を行い、とりまとめた建議に基づき法制化を行なったものであろうと思います。』

 

 

「労働者のため」の法律と言いながらその実「経営者のため」の法律だった。

羊の皮をかぶった狼、戦士たちの革を被って乙事主の周りをうろつく地走りみたいなもんです。

 

地走り(というか帝)が手に入れたかったものはシシ神の首ですが、

経済界が手に入れたかったものは

 

『過労死の存在しない世界』

 

です。

もちろん悲しい方向で。

 

高度プロフェッショナル制度を適用される人は

「自由な働き方」の名のもとに労働時間の上限が撤廃されます。

もし働きすぎで亡くなったとしても

「自己管理ができていなかった本人の責任」

で終わってしまいます。

 

「そういう働き方だって説明したよね。それを受諾したよね。じゃあそれで死んでも文句言えないよね。あなたのせいですよね。」

 

 

としてしまえるのが今回の法律の最大のポイントです。

自社の社員を(資産ではなく)経費としてしか考えない経営者が考えそうな法律です。

 

賛成する自民・公明・維新は、

時代のニーズであり長時間労働が是正される
高度プロフェッショナル制度創設により時間ではなく成果で判断される
同一労働同一賃金が目指される

 

としていますが、

現在の労働感環境でそんなことが夢物語だというのは組織に属されている皆さんの方がよくご存知だと思います。

 

そもそもなんですが、経済界がなぜこういう法律を欲したかというと、

労働時間が長くなればなるほど労働生産性が上がると信じているからです。

200年前のイギリス産業革命時の考え方です。

当然否定されています。

1916年に我が国で施行された「工場法」でも

1日12時間を超える就業
午後10時から4時までの深夜業

が「労働力保護」の観点から禁止されていました。

今回の法律は”それ以下”になるんですけど本当にいいんでしょうか。

経済を良くしようと思えば消費を増やすしかないわけですけど、

消費する時間をなくすようなことをして”消費者(=労働者)”を使い潰すようなことをして

本当に経済が上向くと思っているのか。

とかとかとかとか。

 

なんで歴史に学ぼうとしないんですかね。

膨大な知の蓄積があるというのに。

色々考えると悲しくなってきました。

2019年4月施行だそうですが暗澹たる気持ちです。

 

 

最後に超個人的な所感

今回の働き方改革の審議を見ていて、農業政策を調べている時と同じ気持ちになりました。

 

農業政策をつぶさに見ていくと(見なくても)、農業者のことなんてまったく考えていないことがよくわかります。

弱小産業である農業を如何に外交カードとして利用するか。

その1点だけを見据えています。

ある意味わかりやすいんですが、本当に憂鬱な気持ちになります(いや、本当に)。

 

今回の「働き方改革」も、経済界の意見のみを吸い上げ労働者はそっちのけでした。

過労死遺族の会とも面会しない徹底ぶりには背筋が凍りました。

経済界(&アメリカ)という”一部”の人の顔色をのみを窺う行政府のトップ。

そして、”その”行政府のトップに阿諛追従する立法府の面々。

普通に考えると、この流れが続く限り、社会状況はますます悪化していきます。

どうしましょうねー。海外にでも移住しましょうか。

なんて軽口の一つでも叩きたくなります。

 

いずれにせよ超長時間労働を社会が許容するとなれば、あなた自身が仕事によって殺されてしまう可能性がぐーんと増しますので、みなさん生き抜くためのスキルを身につけてくださいということで、生き残れそうな情報置いておきます。

疲れたらオーストラリア行って、パワーチャージしてまた帰ってきましょう。

なんちゃって。

 

▼日本社会に疲れたらオーストラリアの田舎に行こう!

togetter.com