【世界の食糧需給と日本が被る影響②】
というわけで続きを書いていきます。
世界の食糧供給基盤は盤石じゃないよ。
ということをメインで書きます。
枯渇しつつある地下水
様々な国で穀物の大規模な生産が行われていますが、
農業用水として”地下水”を使っているところが多々あります。
前回『小麦』を例に出しましたが、
大豆、とうもろこしも温暖で適度に乾燥した気候を好みます。
(というと多少語弊があるのですが、まぁ、とりあえず)
また乾燥地域の方が病気や腐敗等の心配が少ないこともあり
生産者的に栽培しやすいという理由から乾燥地に集中する傾向にあります。
こういうところに河川湖沼等のいわゆる”地表水”があれば問題ありませんが
そんな都合よくあるわけもないので地下水を使います。
一番話しやすいアメリカを事例として話していきます。
アメリカの穀倉地帯と言えば
グレートプレーンズという大平原なのですが、
そこも例に漏れず乾燥地です。
どーんと広くて気候は暖かく乾燥している。
作りやすいんですよね。
で、このグレートプレーンズで使われている農業用水が、
『オガララ帯水層』というところから汲み上げる地下水です。
氷河期に形成された超巨大な地下水なのですが、
流入量がほぼない”化石水”だと言われています。
つまり、使い続けていたらなくなる水なんです。
2050~70年の間にオガララ帯水層が枯渇するという試算がされています。
地下水の枯渇はアメリカの話だけでなくインドや中国、スペイン等でも深刻な問題になっています。
▼地下水が危機、今世紀半ば18億人に打撃(’16/12/28)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/122700501/
上記事にもありますが、
世界の食料生産の40%を地下水に頼っていますので
文字通り”世界的”に影響を与え得る問題です。
日本はどうなるか
中学校の時、
「『ミシシッピが凍ると日本の牛が風邪をひく』という言葉があってね…」
と社会の榎本先生が言っていました。
日本で使用される飼料穀物はアメリカからの輸入に大きく依存しており
水資源の枯渇により畜産業界は大きなダメージを受けるでしょう。
そもそも日本で使用されてる大豆の7割が米国産なので醤油、味噌、納豆業界も大打撃。
大豆は『サラダ油』としても使用されているので油業界も打撃。
となれば飲食業界も打撃、小売業も打撃、一般家庭も打撃…
ということで与える影響は計り知れません。
全世界的に生産力が減退することによって生じるコストを計算した人って誰かいるんでしょうか(どなたかご存知の人いらっしゃれば教えてください)。
とにかく計り知れない影響があります。
水が使えなくなるなんて農業する上で致命的です。
というわけで、世界の食糧供給基盤はかなり脆弱で、日本が被る影響もかなり大きいでしょう。という答え。
なんですが、
なんですが、一方で日本は全国的に大量に水を供給される環境にあります。
日本の平均年間降水量は約1,700mm。
世界平均が880mmなので約2倍の降水量です。
ちなみにアメリカが736mm、オーストラリアが534mm、中国が627mmです。
夏場の一時期水資源が減少することはありますが基本的に枯渇の心配はありません。
世界が地下水の枯渇に戦々恐々する中、日本はその点を気にしなくてもいいわけです。
というわけで、数十年以内に起こるはずの穀物の供給不足を見越してそろそろ本腰入れて対策をしていくべきだと強く強く感じる次第です。
という一文を書きたくてここまでツラツラ書きました。
おつきあいいただきどうもありがとうございました。
次はトランプのロシアゲート事件でも書こうかと思います。