【農作物価格高騰のもう一つの要因】
先日”野菜高騰”についておたずねいただきました。
『昨秋の長雨と台風が影響している』とお伝えしまして基本的にそれ以上でもそれ以下でもありませんのでこのままダラダラと続けてもおもしろくありません(えぇ。まったくおもしろくありません)。
ので少し趣向を変えて天候不順以外で農産物が高騰する話をしようと思います。
こっちの方がおもしろくないかもしれませんが。
価格の決定
とっても当たり前の話をしますが農作物も市場に流通されてしまえば市場メカニズムが働き需要と供給が折り合うところで価格が決定されます。
一般的に
供給UP / 需要Down で価格は下がり
供給Down / 需要UP で価格が上がります。
なので、供給量が増えるいわゆる”旬”の時期に価格は下がり、
供給量が減るそれ以外の時期は上がります。
コメント欄に大田市場のインゲンマメの供給量と価格を1枚にした画像を貼っておきます。
左側が価格で、右側が大田市場での取扱量です。
インゲンマメの旬はだいたい6月~9月頃。
その時期に供給量が増えて価格が下がっていることがわかると思います。
(インゲンマメを選んだ理由は特にありません)
大体の農作物はこのような動き方をします。
なので少しでも高く売るために旬をずらしたりするわけなんですがそれはさておき。
特異な動き方をする場合がある
基本的には上述のような値段変動なのですが
ごくまれに需給バランスだけでは説明できない変動をする時があります。
それが2008年に起こった『世界食料価格危機』でした。
この時期欧州・豪州の干ばつによる小麦収穫量の減少やトウモロコシのバイオエタノールへの転用促進により穀物の供給量が減少したにも関わらず、
原油価格の上昇による肥料の高騰(肥料の生産には石油または天然ガスを使用する。詳しくは『ハーバー・ボッシュ法』を参照)により栽培にかかる費用が増加しました。
着目すべきは『小麦、トウモロコシの供給量が減る』とされたにも関わらずもっとも高騰したのは”コメ”だったということです(コメント欄の画像参照)。
小麦、トウモロコシの代替品としてコメに需要が集中し高騰することを懸念したアジアのコメ輸出国は輸出の制限ないしは禁止を実施。
ここにサブプライム問題で金融市場から手を引き始めていた一部投資家の投機マネーが流入。
コメ輸入国のパニック買いとあいまって空前の高騰を生みました。
このように、需給バランスとは関係のない原因で値段が高騰することがあります。
そしてこの高騰により食料を確保できなかった国で暴動が起こり
ハイチでは5人が死亡しました。
白菜の価格高騰で死人はでませんが、穀物価格の高騰は命に直結します。
この後各国政府は食糧援助等を行い、またコメ価格の調節を目的とするコメ輸出国機構(OREC)の創出を表明しますが根本的な解決には至っていません。
ということは少しの出来事でもう一度同じことが起こる可能性があるわけです。
ということをお伝えさせていただきました。
こちらからは以上です。