ほぼ週刊よこやま

ある一人の友達のために始めたニュース解説記事。私の視点から見えるもの。

【プーチンの訪日:日本が得たものと失ったもの②】

前回の記事で北方領土問題をダダダーっと書きましたが

日本にとっての対ロシア交渉最優先事項は北方領土ですが

では「ロシアにとっての優先事項はなにであるか」

を考え、

「今回の会談はどのような状況下で行われたか」

を読み解いていきたいと思います。

 

ロシアの国家戦略とプーチンの思惑

最近のロシアの動きを取り上げると

際立つのはクリミア併合とシリアへの軍事介入だと思います。

メドベージェフからプーチンに戻ったのが2012年。

クリミアがロシアに編入されたのが2014年。

シリアへの介入を始めたのが2015年。

あまり知られていないところでいえば、

今年からイスラエルパレスチナ問題にも政治的に介入し始めており

プーチン政権に戻ってから国際社会の中でのプレゼンスを高めようと腐心しています。

いくつか理由はあるのでしょうが、

大国と言えど経済基盤が強固なわけではなく(GDPは世界12位・主産業は石油)、

冷戦状況下で作り上げられた北大西洋条約機構が現存する中(ワルシャワ条約機構は解散したのに!)、

『世界に睨みをきかせておきたい』と考えているのではなかろうかと思っています。

あとは『大国ロシアの復活』ですね。これはどこの国も一緒です。

アメリカでさえ「あの素晴らしき日よもう一度!」と言うんですから。

これを勝手に『大国ノスタルジー』と名付けます。

 

無駄口が過ぎました。話を戻します。

となれば、必然的に「西側諸国との関係改善」が持ち上がってくるわけですが

その入り口に選ばれたのが極東で国境を接する『アメリカの同盟国』日本でした。

きっかけは2013年4月の安倍首相のロシア訪問です(たぶん)。

北方領土返還を実現して歴史に名を残したい安倍氏

西側に近づいていきたいプーチン氏の思惑が合致した瞬間でした。

潮目が変わったのはやはりアメリカの大統領選。

”ロシア寄り”のトランプが勝利したことでした。

過去にトランプは「彼(=プーチン)は力強い指導者であり、パワフルな指導者だと思う。彼は彼の国を象徴している」と発言しています。

 

▼今度はトランプ氏がプーチン大統領を称賛

http://www.afpbb.com/articles/-/3070854

 

その後多少トーンダウンしますがクリントンよりは遥かに好意的であり

西側最大の国、アメリカとの関係性が改善されそうな気配が出てきました。

サイバー攻撃問題で冷え切ってる米露間ですが

トランプ氏に期待を寄せている感じが伺えます。

 

▼トランプ氏にプーチン大統領からクリスマス祝う手紙

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161224/k10010818431000.html

 

そうなると日本のプライオリティは一気に下がります。

2018年には大統領選があり再選を狙うプーチンにとって

今回の会談は、

『友好的な雰囲気を醸しつつ、良い条件を引っ張れるだけ引っ張り出す』

ことが目標でした。

そんな中で行われたのが今回の会談だったというわけです。

 

あっさり書くつもりでしたが言及したいことありすぎて分量多くなりました。

次回、やっと会談の中身に触れられます。

早めにあげます。