ほぼ週刊よこやま

ある一人の友達のために始めたニュース解説記事。私の視点から見えるもの。

【卸売市場法の改正】

気づいたら7月も半分越えてますね。

びっくりです。

 

今日はあまり知られていない間にひっそりと通ってしまった『卸売市場法』の改正について書きます。

衆参ともに6時間の審議だったと伝え聞いておりますが(未確認)、そんな短時間で済ましていいような改正じゃないんですよねー。

ちょっと愚痴をこぼしながらポロポロ書いていきます。

 

卸売市場法とは

都道府県に「卸売市場」というものが必ずあります。

農林水産省が認可・監督する「中央卸売市場」というものと、各都道府県が認可・監督する「地方卸売市場」の2つがありますが今回はまるっとひとまとめに「卸売市場」と表記します。

 

(旧)卸売市場法の第一章第一条にその目的が書かれています。

そこには、

 

>(前略)生鮮食料品等の取引の適正化とその生産及び流通の円滑化を図り、もつて国民生活の安定に資することを目的とする。

 

 

 

とあります。

卸売市場は(天候不順等の影響を受けやすくかつ保存がきかない生鮮食品の)、

 

1.公正な価格の形成

2.安定的な供給

 

 

という重要な役割を担っており、その開設や取引に関する規制を定めているのが卸売市場法です。結構大事な法律なんですよね。

それが今回「一部改正」というより「全面改訂」になったよというお話です。

 

改正内容

方向としては「規制緩和」の方向です。

1.卸売市場を設置しやすくし

2.取引の際のルールを緩めよう。

 

というのが今回の趣旨です。

 

1について。

これまで卸売市場の設置には農林水産大臣または都道府県知事の「許認可」が必要でしたが、これを「認定」とすることで参入のハードルを下げました。

 

2について。

卸売市場の取引ルールであった、

・第三者販売の禁止(認定された人以外への販売の禁止)

・直荷引きの禁止(卸売業者以外からの購入の禁止)

・商物一致原則(入荷した商品は市場内で取引すること)

から除外されました。

 

これらの変更は私は問題だと捉えているんですが、

何が問題かというと、

購買力、交渉力のある大手小売がさらに力を持つことになり、

卸業者もそこと取引ができる「大手」に集約されていってしまうことです。

 

中小の卸は価格押し下げ圧力に抗せなくなり潰れちゃうと思います。

そもそも体力が違いますし。

となると、農家は薄利多売に耐えられる大規模農家か、もしくは超高単価な作物を小規模で作る農家でないと生き残れないと思います。

こっちは余談。

 

『大きいことはいいことだ』

 

は別の標語ですが、

何かと大きくして規模の経済(生産規模を拡大することで固定費を下げること)を活かそうというのがここ数十年のトレンドで、

『卸売市場もすべからくそれに乗っかっちゃおう』

という意図が改正案からは透けて見えます。

 

大手に集約してしまえば確かに効率はよくなるため一見良いことのように見えますが、多様性が失われてしまいます。

飲食業界を見回して貰えばわかるように多種多様な飲食店があります。

また、小売店も様々なところがあります。

高い店、安い店、大衆向けの店、ニッチな店…

色々ですよね。

多様性を維持するためにはコストがかかりますが、

そのコストをケチってまで多様性をかなぐり捨てる必要が本当にあるのか?

というのは問われないといけないと思っています。

 

なんか最後上手くまとまりませんでしたが、

卸売市場法改正により規制が緩くなりました
大手に一極集中することになるでしょう
中小は潰れていくことになるでしょう

というのが大まかな流れです。

『多様性は維持されたほうが良い』という価値観を持つ私としては、非常に危機感が募る法改正でした。

というお話でした。