ほぼ週刊よこやま

ある一人の友達のために始めたニュース解説記事。私の視点から見えるもの。

【日本社会のターニングポイント:小泉構造改革⑤】

さすがに今回で終わります。

 

トリクルダウン理論

始める前に現政権がどういう理屈の下で経済政策を行っているかを述べておきます。

安倍政権が行ったのは

公的資金(年金等)を投入した株価の買い支え
円安誘導による輸出企業の支援
法人税の減税

が今回のお話に関わってくることです。

全て大企業や投資家に利するところが大きいものです。

 

『企業が儲けて資産家が稼いでくれたら

労働者の給与も増えるし、お金持ちが使うお金も多くなるはずだ』

 

というのがこの政策の後ろ盾となる理論です。

トリクルダウン理論と言いますが、企業は内部留保を溜め込み資産家が使うお金は増えませんでした。

そもそも企業が最高益を叩き出した背景には政府の強い後ろ盾があったからで企業努力によるものでも市場拡大による影響でもありません。

また社会情勢が不安定な昨今、固定費となる従業員給与をあげるのはかなり勇気のいる決断ですので率先して行うことはまずありません。多く従業員を抱えるところは尚更。

また十分に満たされている人たちは、何の負担もなくお金を使える資産家は、さらに稼いだからといって使うお金が増えるわけではないんです。

「トリクルダウンは起こり得ない」と言っているお金持ちの動画があるので置いておきます。TEDの20分位の動画です。

 

▼超富豪の仲間たち、ご注意を ― 民衆に襲われる日がやってくる

http://urx3.nu/FTKZ

 

進むべき道

民進党の代表に就任した前原誠司氏のブレーンとなっている慶応大学教授の井出英策氏が主張する『税の適切な分配』はその道の一つだと思います。

井出氏は

アベノミクスでこれだけ大規模に”経済成長”を求める政策を行ったにも関わらず、経済成長は実現されていない。政策の主眼を、成長から分配へとシフトするべきだ」

と述べています。

本人が主張している具体的な事例を一つ提示しておきます。

 

『消費税を15%にするとしよう。

一見、大増税だが、国民負担率からすれば、欧州の平均的な負担率であるドイツより軽い。

現行8%からすると、7%の増税で、

1%で2・8兆円という計算からすると、約20兆円の増収になる。

このうち、10兆円を財政赤字の穴埋めに使えば、財政収支は黒字化する。

残り10兆円は、人々が医療、介護、教育、障害者の自立支援などで自己負担している費用(年間10・9兆円)に充てられる。

完全にタダにはならないが、驚くほど自己負担が軽くなり、財政危機におびえずにすむ。』

 

とのこと。

毎日新聞が取材した井出氏の記事があったので掲載しておきます。全文はノートに貼り付けておくので気になった人は読んでみてください。

 

▼拡大版 「税の再分配」革命がニッポンを救う! 最注目の経済学者、井手英策・慶大教授が熱弁(’17/6/29)

https://mainichi.jp/sunday/articles/20170626/org/00m/070/004000d

 

7/25、30の『税について』でも書きましたが税に対する忌避感が強い中、

実現可能性がどこまであるのかはわかりませんが

税の分配に焦点を当て政策の中心に置くというのは一つの方法だろうと思います。

個人的には行動経済成長時期の様な右肩上がりはこの先起こりにくいと考えています。

『低成長社会の中でどのようにして【安心】を生むのか』

ということが、現在の閉塞感を打破するためのキーの一つになるのではないかと思います。