【東京都議会議員選挙②】
前記事で都民ファーストの動きが「気になる」と言ったことについてです。
都議(=地方議会議員)の役割についてお話します。
大しておもしろくはないけれど選ぶ時のポイントになれば幸いでござる。
『二元代表制』という制度における議会の役割
日本では全ての地方議会で『二元代表制』という制度を採用しています。
これは、首長(今回の場合は都知事)と議会議員の両方を
住民による直接選挙で選ぶ制度です。
この制度の利点は『立法権』と『行政権』を明確に分離できる点にあります。
ちなみに、ですが、二元代表制の対となるのが議院内閣制で日本では国会が採用しています。
選挙で『立法府』のメンバーである国会議員として選ばれた人が
内閣を組閣し『行政府』のメンバーである大臣やその他役職を務める。
ということです。
話を戻します。
地方自治体の場合、行政側が予算案や条例案を提示し議会で話し合ってそれらを決定します。
(もちろん首長に議決権はありません)
そして行政側は議会で決まった条例や予算を元に、
首長をはじめとする地方自治体職員等が粛々と業務をこなしていき、
議会はそれらが瑕疵なく正しく執行されているかをチェックします。
執行されていなければ指摘し批判します。
地方議会の役割は国会における野党の役割と同じで、
行政側に対し、
「この問題はどうなっているんだ?」
「ここは大丈夫なのか?」
と問いながら行政を”是正”していくことが議会の役割となります。
地方議会議員の役割
では”議員”の役割は?となると、2つあると考えています。
1つは、自身の選挙区や自治体の問題点を汲み取ること。
もう1つは、汲み取った問題点を議会での質問を通じて行政に認めさせ、予算や条例に反映させる(組み込ませる)ことです。
健全な議会運営のために、議論を深めるためには、
議員個人個人が行政側に対し
「それって今そんな重要じゃないよね。もっと大事な問題があるよね。」
「前回話し合ったあの問題、『検討します』で終わってたけど今どうなってるの?早くしましょうよ」
等々…と言えるかどうか。
批判的な目を向けられ続けるかどうかがポイントになってくると思います。
「気になる」ポイント
都民ファーストは小池知事の方針決定を”待って”団体としての方針を明らかにしました。
そのどこが「気になる」のかというと、
上に書いたように『都』と『議会』の本来の在り方を考えると、
知事の意向云々ではなく議会で派閥を形成するであろう団体として
きちんと意見を表明しなければいけなかったと私は考えています。
もちろん小池氏が団体の現代表であるため彼女の意思表明の前に
団体や所属する個人が意見表明をすることが難しいという理屈はわかりますが
あくまで小池氏は『行政の長』であるわけで
議会側の人々が無批判に知事の意向に賛同するというのはかなり不健全です。
各政党、各議員にとって得意・不得意な分野は当然あります。
情報が少なくまだ判断できる状況にないということも当然あり得ます。
分からないことを一旦保留にしておくというのも十分に政治的判断です。
都民ファーストが掲げている徹底的な情報公開や都議会の透明化は素晴らしいことで
進めなければいけないことであるのは間違いありません。
しかしながら、東京都にある問題を汲み上げて予算に反映させるために議会に届けるのが議員の役目で、
都の方、ましてや都知事の方ではなく、都民の方を向いて仕事をするのが都議会議員の役目です。
都民ファーストを標榜する団体が、最終的には都知事ファーストになってしまうのではないか。
という懸念を抱かせてしまう出来事だったなーと思っています。
とりあえずこんなところにしておきます。
懸念点を言語化してくれているので紹介。
▼希望の塾と都議選の矛盾〔上〕「小池新党」は親衛隊か?(’17/1/6)
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170106-OYT8T50020.html
▼希望の塾と都議選の矛盾〔下〕候補者は小池ファースト?(’17/1/7)
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170106-OYT8T50021.html