【消えた”年金14兆円”のワケ】
先日こんなニュースがありました。
▼年金運用、14.8兆円の赤字 過去最大、世界的株安や円高で(’19/2/1)
『年金の運用ってなに?赤字ってなに??』
みたいな方もいらっしゃると思いますのでその方はこちらの記事をどうぞ。
《目次》
年金運用赤字の理由その1:株式比率の増大
ざっくりご説明をしますと…
みたいな流れです。
2014年にこれまで国内外合わせても
25%だった株式比率を50%にまで引き上げました。
その時のニュースがこちら。
▼GPIF、運用見直しを決定 国内株25%に引き上げ(’14/10/31)
ちなみにそれに先駆けて2013年9月に行われたNY証券取引所で
「アベノミクスは”買い”だ」
と演説していました。
▼「バイ・マイ・アベノミクス」 安倍首相、強気の演説 米紙の評価は?(’13/9/30)
さらに2014年1月にはダボス会議でも
「GPIFの運用の在り方を見直す」
と発言しています。
以下記事はその問題点について書いたもの。
▼年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のガバナンス改革について(’15/3/16)
要は、
「これから日本の株価は上がっていくから買ってね。
え?なんでかって?
年金を元手に大量に購入するからね。上がるんだよ。」
という宣言をしたわけです。
もちろんなんですけど年金運用の在り方は
『政府の意向とは”関係”なく”独立”して決められるべき』
ものなんですね。
「積立金の運用は、専ら被保険者のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行う」
と、法律にあるにも関わらず、
政府が実質的に圧力をかけた形になります。
この発言によりググッと株式比率を引き上げる結果になりました。
これがまずひとつ。
年金運用赤字の理由その2:株価の”買い支え”
株式比率が大きくなりました。
が理由その1でした。
リスクは大きいんですけど、100歩譲ってそこまではいいとしましょう。
ただ、その運用の仕方が運用益を出そうとする感じじゃないんですね。
株の基本は、
『高い時に売って、低い時に買う』
ですよね。
その差で儲けるわけですから。
GPIFの動きを見てるとそんな感じじゃないんですね。
2015年のロイターの記事に既に書かれています。
▼東京市場で鳴りを潜める海外勢、株価本格上昇に欠かせぬ「主役」(’15/1/30)
ざっくりまとめると…
日本市場は株安の動きがあると
公的資金を投入して株価の下支えをしている。
その資金の大半は年金だ。
ということです。
『株価で運用益を出そう』
というよりも、
『株価を高止まりさせておきたい』
という意志を強く感じます。
この点は国会の議論でも話題になっていて、
海外投資家が売り越せば(GPIFから依頼を受けている)信託銀行が買い越す。
って流れになってます。
写真載っけておきます。
▼参院予算委 小池副委員長の基本的質疑(’16/3/6)
(しんぶん赤旗作成)
ということで、稼ぐ気が感じられないんですよね。
それは赤字も出るよなって感じです。
そもそも論として
株は元金割れがあるからリスク超高いわけですよね。
1万円で買ったのが8,000円になる可能性がある。
けど、国債は1万円でかったら1万円に利子ついて返ってくるから
めっちゃ安心ですよね。
だから、これまでは国債を中心に運用してたんですけど
「儲けが小さいからこのままじゃ年金足りなくなるよね」
って株の運用比率UPが始まったわけです。
結局はアベノミクスの弊害的な部分なんだろうと思います。
そもそも”株”って企業の業績に応じて上がったり下がったりするものなのに
こうやって誰かが恣意的に上げたり下げたりしてたら
そら問題は大きくなるよな…
という感じですしこれ当初から指摘されてたんですけど
イケイケドンドンでやっちゃったんですね。
じっくり議論するってほんと大事だなって思わされます。
”今年の宿題”とのつながり
昨年末に書いた記事はここに繋がってきます。
年金のお金を株にいっぱい突っ込んだから
色んな会社の株を沢山持ってて、
『ここが”売り”始めると一気に株価がさがっちゃう問題』
があるわけです。
あまりに額が大きくなりすぎて
『売りたくても売れない状態』
に陥ってしまいました。
この蟻地獄の様な状態からどう脱するんでしょう:;(∩´﹏`∩);:
たぶん安倍さんは引っ込みがつかなくなってるので
次の政権が担わされることになると思います。
「負の遺産」
ってこういうことなんだなーとしみじみと感じました。
感じてる場合じゃないねんけど。
ほんとこのあとどうなるんやろって感じです。