【タックスヘイブン問題:税逃れの方法】
6月1日で通常国会が閉会しました。
今年の初め、もっと言えば去年の秋くらいから
各党が夏の参議院選に向けて動いていました。
選挙まで1ヶ月ちょっとということで、
より活発化し、様々な情報が飛び交うことになります。
各党の主張なんかはそのうちまとめようと思います。(たぶん)
「日本の企業や富裕層がどうやって税金から逃れているのか」
を国会でわかりやすく解説してくれたおじさんがいるので、
その質疑を丸パクリする形でお伝えします。
ちなみにそのおじさんは共産党所属の参議院議員、大門実紀史さんです。
今年改選で、経済問題に詳しい印象があります。
企業からの徴税
日本には税逃れをさせないために、
『外国子会社合算税制』という制度があります。
これは、日本の企業や富裕層がタックスヘイブン(租税回避地=税金がとても安い場所)に子会社を持っていたとしても
親会社と子会社両方の利益を合計したものに課税できる制度です。
1978年に租税回避を防ぐために制定され少しずつ改正を重ねています。
カリブ海にあるイギリス領ケイマン諸島がよく利用されるそうです。
日本からケイマンへの、
直接投資額(会社の株の売買など)は約2兆3600億円
証券投資額(株式市場などマーケットへの投資)はフローで約36兆円
でした(2014年度)。
とりあえず、日本からケイマンへお金が流れ、いっぱい動いた。ということです。
チャリタブルトラスト
『外国子会社合算制度』があるのになぜ税金から逃れられるのか。
それを可能にするのが、『チャリタブルトラスト』という方法です。
チャリタブルトラスト(=charitable trust)は”慈善信託”と訳されます。
ざっくり言えば、
「信託制度を活用して親会社との資本関係を切断する」ということなのですが、
いかんせん◯◯信託みたいなのを使うほどリッチな家庭ではなかったため、
どのタイミングで金銭の授受が発生するか曖昧なところがありますが、
とりあえず話を進めていきます。
信託の仕組み
まずは信託の仕組みから説明します。
ある企業Aの持ち株を△とします。
Aはこの△を信託会社Bに譲渡し、Bは△を使って利益を生み出します。
それが△+αとなり、手数料等を引いたα’(αダッシュ)がAの利益になります。
A△ → B(Aの株をBに移譲)
↓
A B△(BはAの株を使って運用)
↓
B△+α(α分の利益を生み出す)
↓
Aα’ B△+手数料等(Aは手数料を引いた分の利益を受け取る。Bは運用を続ける。)
みたいな感じです。
わかるかなー。わかりにくくてごめんなさい。
信託の仕組みはある程度わかってもらったと思います。
要は、自分の資産を他の会社に一部渡して運用してもらい稼いでもらうということです。
なので、信託会社に移譲しようと子会社の利益には変わりはありませんから、
外国子会社合算税制の対象になるんです。
それをどうやって回避するか。
チャリタブルトラストとは
まず、日本企業が出資してケイマンにペーパーカンパニーAを作ります。
Aはその株式を全て信託会社Bに移譲します。
そして信託契約の際に、
「信託契約終了時に残余財産を慈善団体に寄付します」
と宣言します。
信託会社のBはAから全ての株式を譲り受けた時点で100%の株主となっています。
しかし、もともとAは親会社の日本企業が出資して設立されているので、
親会社の“資産”と見なすことが出来ます。
会社の“資産”である場合、会社が倒産した時の資産整理で売却の対象となってしまいます。
そうなると、株主に元金が戻ってこない可能性もありますし、「慈善団体への寄付」が履行されないことにもなってしまいます。
そのリスクを回避するため「親会社と別物である」とするのです。
これがチャリタブルトラストです。
「直接投資の子会社であるにも関わらず、法的に関係のない別会社」
として振る舞わせ、節税する。ということなんだそうです。
なんとなくわかってもらえたでしょうか。
ポイントは、
法人税0のケイマン諸島でペーパーカンパニー設立
慈善団体への寄付を宣言
すると親会社との関係が切れる
ということです。
読み込めてないので説明下手ですみません。