【三菱の国債市場特別参加者資格返上】
さんざんマイナス金利書いたしなー。
どうしようかなー。
と思いましたが、ちょっとした衝撃だったので取り上げることにします。
▼三菱東京UFJ銀、国債市場特別参加者の資格返上を検討=関係筋▼
[ロイター 6月8日(水)7時20分配信]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160608-00000013-reut-bus_all
というニュースについてです。
国債市場特別参加者制度とは
プライマリーディーラー(=Primary Dealer)制度。
銀行や証券会社など大手金融機関が発行される国債の一定数を引き受ける義務を負う制度で、
その見返りとして財務省から国債発行計画の情報を得られる特権が与えられます。
大手金融機関に国債を安定して消化してもらうことで、
国の財政を支える。ということです。
『国債市場特別参加者』に認定されてるのは22社で、
そのうちの1社三菱東京UFJ銀行が
「参加者資格を返上したい」
と言い出したのが今回の問題です。
UFJ銀行が資格返上を検討する理由
記事内にもありますが、
資格返上を検討する最大の理由は「損するかもしれない」からです。
これまで国債は”非常に安全な資産”と考えられていました。
ノーリスクローリターンくらいの勢いです。
金利が低いとはいえ貸付相手が国なわけで、
国内の個人や金融機関なので
貸し倒れ(いわゆるデフォルト=債務不履行)に陥る危険性が非常に低いんです。
あまり儲けは出ないけど、微小ながら一定の収益を上げてくれる。
それが日本国債の位置付けでした。
それがマイナス金利の導入により、
国債の利率も下がりました。
国債には短期のものから長期のものまであって、
一番短いのが3ヶ月
一番長いのが40年です。
指標として基準となる10年国債の現在の利回りは-0.137%で
3ヶ月~10年までの国債の利回りは軒並みマイナスです。
15~40年の長期国債はプラスですが、
資産の流動性が著しく悪くなるため
経営を逼迫する危険性があります。
UFJはそれを嫌って資格返上を前向きに考えだしたということです。
この先どうなるか
財務省は問題ないとの見方をしていますが、
他の参加者達がドミノ的に資格返上を言い出すことは十分にありえます。
現在は異次元緩和の名の下に
なかば”裏ワザ”のような手を使っているので当面は安泰でしょうが、
それも期限付きのものなので、
異次元緩和が終わる時にどうなるか。
ということが問題になってくると思います。
6月15,16日の日程で
日銀の政策金融決定会合が開かれますので、
三菱の意向をうけて委員達がどう判断するか。
まったく波風の立っていない今回の会合でしたが、
市場関係者含め一気に関心が高まった
今回の三菱東京UFJ銀行の発言でした。