【南北会談の成果②】
前回書いた時は北から特使団が帰ってきた直後でした。
その後特使団の一部が訪米。
トランプ氏に米朝首脳会談を打診→受諾という衝撃の流れでしたね。
▼トランプ米大統領、米朝首脳会談の要請受諾 5月までに(’18/3/9)
http://www.bbc.com/japanese/43340292
気づけばいろんなことがドドドっと進んでいた。
そんな感じでした。
『米朝首脳会談までいければ最高だよね』
ということを書こうと思ってたんですが
そこまでいっちゃいましたね。
《目次》
韓国政府が引き出したもの
▼南北首脳会談、4月実施で合意=韓国特使団 正恩氏は非核化の意向も(’18/3/6)
http://www.bbc.com/japanese/43304224
この記事が出た当初、日本の報道は南北の融和ムードに対しかなり懐疑的でした。
「また騙されているのではないか」
「どうせ反古にするのだろう」
「文在寅は北に丸め込まれた」
という論調がしばしば見られました。
こんな感じ。
▼急転…南北首脳会談へ 日本は“懐疑的”(’18/3/7)
http://www.news24.jp/articles/2018/03/07/04387435.html
ただ、日本の報道とは裏腹に特使団が北と合意した内容はかなり踏み込んだものでした。
少し長いのですが以下に引用します。
引用元はこちら。
▼韓国特使団と金正恩氏の「合意」をどう読むか…問われる日本の役割(’18/3/7)
①南と北は、4月末に板門店の「平和の家」で、第3次南北首脳会談を開催することにし、このために具体的な実務協議を進めていくことにした。
②南と北は、軍事的な緊張関係と緊密な協議のために、首脳間のホットラインを設置することにし、第3次南北首脳会談以前に、初の通話を実施することにした。
③北側は朝鮮半島の非核化に対する意志を明確にし、北朝鮮に対する軍事的な脅威が解消され、北朝鮮の体制安全が保障されるならば、核を保有する理由がないという点を明確にした。
④北側は非核化問題の協議および、米朝関係の正常化のために、米国と虚心坦懐に対話を行う用意を表明した。
⑤対話が続く間、北側は追加の核実験および弾道ミサイルの試験発射など、戦略挑発を再開しないことを明確にした。同時にまた、北側は核兵器はもちろん、在来式の武器を南側に向けて使用しないことを確約した。
⑥北側は平昌オリンピックによって造成された南北間の和解と協力という良い雰囲気を続けていくため、南側のテコンドー師範団と、芸術団の平壌訪問を招請した。
特筆すべきは③と⑤です。
韓国国民は”敵国”である北朝鮮に軍事的脅威をかなり感じていました(そうです)。
今回の合意で交渉期間中の平穏が確保された(⑤)わけですし、
将来的な核放棄の道筋も示されました(③)。
韓国の人々にとって
「北の軍事的脅威を(一時期とはいえ)心配しなくてもいい」
ということだけでもかなりの成果だったと言えると思います。
トランプが米朝首脳会談を受諾した理由(の推測)
その後特使団が訪米しトランプに交渉の結果を伝え
『5月までの米朝会談』
を取り付けるわけですが、
これはトランプの(ほぼ)独断だったと言われています。
その裏には”交渉”に対する絶対的な自信があることに加え、
なによりも、今年11月に行われる中間選挙に向けて支持率をあげるための
パフォーマンス的な意味合いが大きいのではないかと見ています。
『今年の5月までに…』
としたのも、
▼中間選挙へ本格化 テキサス州、きょう予備選 「反トランプ」民主に追い風(’18/3/6)
など、トランプに不利な状況が続いているからでしょう。
アルミと鉄鋼への追加関税を決めたにも関わらず
大統領選で勝利した『鉄鋼の街』で苦戦しているトランプ。
▼米共和党、「鉄鋼の街」で苦戦 下院補選、トランプ政権に衝撃(’18/3/14)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28113730U8A310C1FF2000/
「米朝会談を政権の浮揚策としたい」という考えが
今回の会談の申し出にYesと言わせたのではないかと考えています。
現状を打開したい北朝鮮、
南北融和を進めたい韓国、
そして、支持率を回復させたいトランプと、
三者の思惑が一致したわけです。
韓国の”成果”
朝鮮戦争の終戦ということにも言及されるようになってきました。
▼朝鮮戦争の終戦宣言も議題に=南北、米朝会談で韓国高官(’18/3/14)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018031400973&g=prk
今後の展開は、南北の協議や南北/米朝首脳会談しだいですので
もちろん楽観はできないのですが、
かつてなく南北関係が改善してきており
韓国国民がそのことに希望と期待を抱きはじめている。
ということが現状、韓国にとっての最大の成果と言えるだろうと思います。
この先、南北首脳会談に向けて様々な情報が出てくるはずですので
追える範囲で追っていこうと思います。
お付き合いくださいませ。